紫の未知の発光現象「スティーヴ」
「謎の紫の光」その発見のキッカケとなったのは
「オーロラチェイサーズ」といわれる愛好家たちによるものだった
(アイキャッチ画像と説明はWikipediaより)
スペリオル湖にかかるスティーブ。原典にプロトンアークとの説明がついているが間違いである。なお、アルバータ・オーロラ・チェイサーズもこの画像がNASAのウェブサイトにプロトンアークして掲載されていたため[4]、自分たちが追っている現象がプロトンアークだと思い込んでいた。Ken Williams撮影。
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結論から言うと
このオーロラのような 「紫の光」の正体は
今のところ まだハッキリと解明されていない
(2018年4月2日ナショジオニュース)
愛好家の発見から始まり
世界中の科学者を巻き込んだ ロマン溢れるストーリーを
2014年の写真撮影から 2018年3月14日
学術誌「 Science Advances」に第1報が掲載されるまでをまとめてみた
「スティーヴ」と名付けられた未知の発光現象
2014年8月27日
カナダ カルガリーに住む写真家ニール・ゼラー氏は
緑色のオーロラの南側に 紫の筋のような不思議な光の撮影に成功
その光は 30分近く光って消えた
その後 2015年7月13日 PM8時頃 ~ 2016年8月4日 というように
数か月に1度現れる奇妙な光について
オーロラ愛好家の一員である彼は 仲間に相談した
カナダのオーロラ愛好家たちが集まる
アルバータ オーロラ チェイサーズ(Alberta Aurora Chasers)には
1万人の会員がいて
実際に撮影に出掛けるのは 内400人くらいというが
この「謎の紫の光」の呼びかけに すぐに100件の写真が集まった
その不思議な光は「スティーヴ」と名付けられた
NASAのwebサイトに 似た写真があり
プロトンアーク(Proton Arc):陽子のオーロラ
と表記されていたことから
当初はプロトンアークかと思われたが
オーロラ研究のカルガリー大学 ドノヴァン教授は この判断を否定
陽子オーロラは 肉眼では見えない弱いもので
この「紫の光のスジ」は別物と位置付けた
そもそも オーロラは
地球大気圏の上層部にある電離層に エネルギーとなる太陽風が当たり
粒子が極地に振り注ぎ 大気中の酸素や窒素と衝突して発生するもの
⊖電子が衝突して発生するのが=オーロラ
⊕陽子が衝突して発生するのが=プロトンアーク
⊕イオン荷電粒子が衝突して発生するのが=スティーヴ
ではないかと推測されている
(*荷電粒子についてはコチラ参照 荷電粒子 - Wikipedia )
がっ しかし
スティーヴの画像の中には 柵囲い(Picket Fences)と名付けられた
謎の緑の縞模様が写り込んでいるものもあり
現在は その解明も まだされていない
2016年7月25日
地上からの観測に行き詰まっていたところ
欧州宇宙機関の地磁気観測衛星SWARMが
高度460kmというスティーヴにほぼ近い所を通過し
スティーヴの謎に一歩近づいた
2017年5月
ヨーロッパ宇宙機関が開いた科学会議で
SWARMからの 分析結果が発表された
スティーヴは
秒速6km ←弾丸の10倍の速さ
6000℃ ←地球コアとほぼ同じ温度
というイオン粒子
2018年3月14日
第一報が掲載された サイエンス・アドバンス誌には
スティーヴ発見に貢献した
アルバータ オーロラ チェイサーズ(Alberta Aurora Chasers)の名前が記載されている
アマチュア愛好家たちが 世界中の科学者に協力して
今も観測情報を提供している
これから解明されていくであろう 謎の発光現象
新情報があればここに追記していきたい
( この記事は「無知の知ノート」 2018年5月5日掲載記事リライトです)
追記 2019年10月6日
(2019年10月5日朝日新聞デジタル)
ご訪問ありがとうございました
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